2007年09月

2007年09月30日

突然の知らせ

突然の知らせをきいた

ゆいまーるに参加してくださっていた
おかあさんがお亡くなりになった

みんなのおかあさんは、
私もおかあさんと呼んでいる。

私がこうして職を辞してからも、
私のきもちにお付き合いして下さった
おかあさん

いっつも元気で
田んぼの泥のなかで
なつかしいね、たのしいねと
我が子以上に張り切っていたおかあさん

いつも元気に笑う顔しか
思い浮かばないおかあさん
そのおかあさんを誰よりも大好きだった彼

ちょっとね、入院なのよ
そう言っていた
おかあさん

泣き虫の彼が
葬儀ではその役目をしっかり果たしていたという

がんばったね

彼の今のきもちを思うと



残した我が子を誰より心配しているだろう
おかあさん

想いに添っていただけたこと
感謝しています
ありがとうございます

お礼をお伝えに伺います




at 17:35|Permalink 今おもうこと 

2007年09月23日

谷戸観察ウォーク

舞岡公園小谷戸の里
毎月定例の自然観察会

9月のガイドを、9月23日に
「谷戸観察ウォーク」と題して行いました

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9月23日という日
「秋分」この日から、夜が長くなる
25日は、中秋の名月
24日待宵、26日十六夜、27日立待月(満月)

秋の夜長の虫の声
虫の声を心地よいと感じたり、お月見をする風習は日本だけです

では、秋の谷戸にでかけましょう。


 主園路 
「秋は実りの季節」
?植生、実とその実のかたち?


泥棒(盗人)が足音がしないように
足の裏を外側を使って歩く足跡に豆果が似ていることから

ヌスビトハギ(マメ科)
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先端がかぎ針のようになっていて、動物にくっついて
種を運んでもらえるようになっています
「くっつき虫」の実

キンミズヒキ(バラ科)の実
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主園路(通路)には、ひっつき虫。
人が運んでくれる。
植物の知恵


「草刈りと保全草刈りのちがい」

園路沿いは、きれいな花が咲く植物など、
残したい植物を見分けながら草刈りをしています。
手間のかかる丁寧な草刈りにより、管理(保全管理)がされています。
背が高い草により植生が制限されてしまう植物も
草刈りをすることで、成長することができます。
植物の種類もふえてきます。

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 長久保の里(七草の里) 
保全草刈りをしながら、草花を大切に保全管理しています。
秋の七草もここでみることができます

山上憶良が詠んだ歌(万葉集)
「萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなえし また藤袴 朝顔が花」

尾花(おばな)はススキ
馬の尾っぽ

朝顔(キキョウのこと)
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藤袴(フジバカマ)は、自生のものが少なくなっています
(絶滅危惧種?種)

昔、慣れ親しまれてきたからこそ秋の七草といわれるのですが、
今では珍しくなってしまったものもあるのでした...


彼岸花(ヒガンバナ)
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彼岸花を観察してみて下さい

葉っぱがなくて、茎がすうっと伸びて花が咲いています

彼岸花は、花が咲き終わったあとに、冬に葉を茂らせます。
葉を茂らせるとき、太陽の光を十分に受けられるように
彼岸花は落葉樹(冬に葉が落ち陽射しが入る)の下に生えています。
そして葉を茂らせ、根に栄養を蓄えます。

彼岸花は、昔から里山で親しまれてきた植物です。
田んぼの畦に植えられたり、落葉樹という里山の環境にも馴染み、
人の暮らしのそばにある植物でした。
毒のある根(デンプン)もさらして食べられてきました。

それは、彼岸花という他にも、
曼珠沙華、赤花...と全国で1000以上の呼び名を持つことからも
里山と関わりの深い植物だとわかります。


 主園路から田んぼへ 

つる植物も実りの季節です

ヤマノイモ むかごがなっています
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ほっそりハート型の葉っぱがヤマノイモ。
ぷっくりハート型の葉っぱはオニドコロ。

ヤマノイモは葉は対生で、オニドコロは互生です。

ヤマノイモはむかご、そして根の部分(自然薯)でと、
ひとつではない繁殖の方法を持っています。
植物はそうしていのちを繋いでいるのです。


どんぐり
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若い実が落ちているのをよくみかけます。
それは、虫がチョキンと枝ごと落としてしまうのです。
そのなかにはちゃんと虫が卵を産んであります。

どんぐりは、狩猟採集の縄文時代の主食のひとつでした
農耕がはじまり、米が主食の弥生時代に。
この階段を下りると田んぼです。


 田んぼ 

秋の田んぼにいるクモ
ナガコガネとジョロウグモ

”秋の女王”
ジョロウグモ(女郎蜘蛛)
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ジョロウグモの巣は、3層になっていて、
前方にエサなどが残る網、真ん中にジョロウグモのメスの大きな網、
後方に小さなカラダのオスのいる網になっている。

縦糸が粘り気がなく、横糸が粘り気があり
虫がからみつくようになっています。
そこで、かかった虫を食べ、食べ残しを前方の網に運ぶ。
オスは、大きなメスに食べられないように、
じっと居候をして、メスが成体となって恋の季節を待っています。

田んぼには一年を通じていろいろなクモがいます。
クモは稲の害虫を食べてくれる益虫です。
弥生時代の銅鐸にはクモの絵が描かれているそうです。
クモは作物を荒らす虫を押さえてくれる存在、
という認識が古くからあったのだろうということですね。


トンボが田んぼの上を飛んでいます。
今、よくみることのできるのはシオカラトンボとウスバキトンボです

ウスバキトンボ(薄羽黄トンボ)
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ウスバキトンボは、渡りのトンボです。
東南アジアで生まれて、海を渡り世代交代しながら
日本を北上してきます。
ただ、冬に近づき北上した先で、
寒さのため死んでしまうといわれています。
そして、来年はまた、東南アジアからまた北上する。
なぜ、わざわざ北上するのか。不思議ですね。

さてトンボは、いくつ卵をうむと思いますか?
トンボは3000個の卵をうみます。

そのうちヤゴに孵ることができるのは?
300です。

ヤゴからトンボとなれるのは?
30頭です。

そうしてまた、成体で卵をうむことができるのは
2から3頭...

3頭であれば、また3000の卵をうむことができるので、
その数は保たれるということになります。

だけど、人が捕まえたり、
コンクリートで埋め立てたり生息場所を奪ってしまうとどうなりますか?
その数は、ゼロになってしまうのです。


「1/1000 のいのち」

今みなさんがみている1頭1頭のトンボは1/1000 のいのちのトンボです。
そう考えると、いのちの大切さをとても思います。
そしてすべてのトンボの99%が、田んぼで生まれるといわれています。


 畦道 
田んぼの側にはハンノキが植えられています。
昔、ハンノキは枝打ちをしてまっすぐ育て、
2本のハンノキに竹を渡し、稲架掛け(はざかけ)に利用していました。

今は、稲架掛けには利用していませんが、
きれいな緑色のミドリシジミが集まる木として大切にしています
(食木:花に集まる)
多様な植物があるということは、
多様な生きものが生息できるということです。


 畦道から谷戸を望む 

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「田んぼの機能」

三方を山に囲まれている里山(谷戸)
奥の山で水が沸き、ため池があり、
そこから水路を通って田んぼに水が流れています。
水は日に当たりあたためられながら、下手の田んぼへ。
緩やかな棚田になっています。

青田の頃には、涼しい風が吹き渡り、
町と比べると2℃低くなります。
”天然のクーラー”

水は、田んぼの一枚一枚蓄えられています。
”天然のダム"

そして、
機械、農薬を用いない昔ながらの田んぼ
たくさんの生きものを育む
"いのちのにぎわい(生物多様性)”

その風景に心が和んだり、
たくさんの人が集う
"人と人とを結ぶ(コミュニケーション)の場としての田んぼ"

そんな、田んぼの機能の見直しと
新しい価値観の創造


「日本の里山文化」

三方山に囲まれている谷戸。雑木林。
その木々は、落葉樹です。
木々は、間伐をしたりして維持されています。
その間伐した木で、炭焼きをしたりして、
暮らしに利用している循環の暮らしが昔にはありました。


 田んぼ その2 

下手の田んぼには、古代米の田んぼがあります。
米のルーツである黒米。
デモンストレーション田です。

不耕起田もあります。
田んぼの作業(畦塗りなど)が、
必ずしも生きものにとっていいものということでもありません。
生きもののために、不耕起田を設けています。
ここでは、畦の中で繭で育つヘイケボタルも確認され始めました。
多様性を維持するために...
そんなこともしています。


谷戸。
里山は、自然とともにある暮らし。
自然の遷移の流れのなかで、人の手によるかく乱(管理)をし、
自然エネルギーを様々な形で享受する暮らし。


?おしまい?



at 16:22|Permalink いのちの声  

2007年09月18日

葉山の棚田 2007

葉山の棚田
2007 始まりました

6月田植え

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機械植えで植えられない端の部分を手植えします
援農、がんばります!

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美しい風景
ずっと守ってゆきたいな

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田の草とりは参加できませんでした...

8月中旬
青々した苗が風に揺れています

青田吹く風

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9月中旬 稲刈り
葉山はいつも、舞岡より早い稲刈りです

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稲架掛けの風景は
秋の風物詩

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at 15:56|Permalink 田んぼ通信  

2007年09月15日

鳴く虫 ?秋の夜?


あれ マツムシが鳴いている
ちんちろちんちろ ちんちろりん
あれ スズムシも鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

きりきりきりきり キリギリス(こおろぎや)
がちゃがちゃがちゃがちゃ クツワムシ
あとからウマオイ おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ


平塚市博物館館長の浜口さんのガイドで、
瀬上の夜の森を「鳴く虫」をテーマに歩きました。

まず、圧倒的に聴こえてくるのは
アオマツムシ(コオロギ科)
木で暮らしている。帰化昆虫。
木の上で暮らす虫は他にはあまりいないので、
競争が少なく、繁殖していった。
一面に聴こえる虫のこえ
[アオマツムシ]


ころころころ... かわいい声です。
エンマコオロギ(コオロギ科)
[エンマコオロギ]


はっきりした声の
ツヅレサセコオロギ(コオロギ科)
♪「肩させ 裾させ 綴れさせ」
昔の人は夜なべをしながら着物を繕いながら
こう聴こえていたといいます。
[ツヅレサセコオロギ]
※川の音が入っています。


音の引き算
よく聴こえるアオマツムシ、エンマコオロギを
聴こえない??と引き算すると
聴こえてくる ウィーチィ ウィーチィ
ハヤシノウマオイ(キリギリス科)
[ハヤシノウマオイ]


音の引き算をすると聴こえてくる
ブザーのような音 ブーーーブーーー
オケラ(ケラ科)
はじめて聴きました!感激♪
土のなかにいるオケラ。
オスもメスも鳴く。ミミズが鳴いているんじゃないヨ。
オケラがいるということ。
湿地の環境が残っているという指標。
[オケラ]


大きい声で鳴いている
ガチャガチャガチャガチャ クツワムシ(キリギリス科)
草原(薮)が少なくなった現在、少なくなっているクツワムシ。
瀬上の森にクツワムシとオケラがいたことは、貴重なこと。
[クツワムシ]
※人の声も入っています。

これが、ガチャガチャガチャガチャ 「クツワムシ」
でかい!
羽根の茶色のあたりが、葉っぱをリアルに似せている。すごい!
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体の色は3色あって
みどり>茶色>ピンク  これは、みどり。
ピンク色のクツワムシはとてもめずらしいのだそう。


他にも、カンタン(コオロギ科)、カネタタキ(コオロギ科)、
クサキリ(キリギリス科)などがいました。
(聴き分けができず、覚えられなかった...)

虫たちの生息場所、いることを確認することで
環境のものさしになる。
鳴く虫は秋だけではない。春に鳴く虫もいる。
5月の連休から秋まで、いろんな虫のこえを聴くことができる。
虫の声を愉しむ耳を持ち得ている日本人。
(外国では、虫の声を雑音と感じる場合もある)


秋の夜長、虫のこえを愉しもう。
家に帰ってテレビを消すと
山のなかのここは、虫のこえしか聴こえません。
聴こえてくる虫のこえを聴きながら、
あ、アオマツムシ。あ、ツヅレサセコオロギ。
と、聴いていたら、いつのまにか眠ってました。


at 21:16|Permalink 歳時記/生きもの暦